雲ケ畑の古刹、岩屋山志明院

ベニババヤマシャクヤクの観察会の後、同じ雲ケ畑にある岩屋山志明院に立ち寄ってみました。


まずはネットで予習してみると、出るわ出るわ!興味深いお寺の情報が。
今回は無理でも、別の機会にでも絶対行こうと思っていたので、観察会が早く終わってくれてラッキーでした。


まずはこのお寺の駒札をご覧になってください(クリックして大きくしてご覧ください)


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ポイント

①役行者が開山で、弘法大師が創建というなかなか歴史のある真言宗のお寺である。

②弘法大師作と言われる不動明王がご本尊で、菅原道真の手彫りと伝わる眼力不動明王が奥の院に安置されている。

③鳴神上人が龍神を封じ込めたといわれていて、歌舞伎十八番『鳴神』の舞台にもなった。


このほかに、ネット情報によると・・・

④鴨川が始まるとされる最初の一滴の水が涌く洞窟「神降窟」がある。
都のために水の神様を祀って、清浄な鴨川の御用水を弘法大師が祈願したとも。
それ以来、皇族の勅願所として崇敬されるようになっていったらしい。

⑤日本有数の魔所、都から追われた魑魅魍魎の最後の砦と云われている。

⑥作家の司馬遼太郎が志明院に宿泊した時の奇っ怪な体験をエッセイにしており
後年、宮崎駿監督にその話をして、アニメ「もののけ姫」の着想になったといわれている。


などなど。。
これだけの歴史やエピソードがあるお寺なのに、京都の人でもこのお寺を知っている人は少ないと思います。
一つは、アクセスが非常に不便だというのもあるかもしれないですね。

それに、山門より先は霊場のため、中ではカメラの撮影、飲食、ペットの同伴は禁止とされています。
お寺とは本来そういう場所なのですが、どんどん観光地化されてきていますからね、最近は。
そういう意味でも、情報が拡散されていないというのもあると思います。
もちろん、一般公開をしていないお寺も京都は多いので、拝観させていただけるだけでもありがたい。


というわけで、まだあまり知られていない古刹、期待度120%で拝観させていただきました。



何と言えばいいのでしょうね・・・
よくいえば自然に溶け込んだかのような石段。余計な手が入っていないというか、訪れる者に媚びないというか・・・
浮かれた気持ちで観光気分でお参りするものを拒絶するような雰囲気を感じました。



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この石段を登ったところに、お寺の方がいらして、
拝観料400円を納め、境内の説明を伺いました。
そして、お約束通り山門より先の撮影は禁止のため、ここでカメラや手荷持(貴重品を除く)は全て預かってもらうことに。
なかなかきっちりしています。


全コース、15~20分で巡れますとのこと。
この境内図(↓)はいただけないのですか?と伺ったところ、参拝者用には作っていないので
これをスマホで撮影して、見て行ってください・・・といわれ

????
カメラはお預かりだけどスマホはいいって・・・・今時、どうなんでしょ。
写真撮影禁止なら、スマホは一番まずいのでは???
まぁ、貴重品だから???
いや、カメラだって貴重品ですけど???と自問自答しつつ
でも結局はいわれた通り、素直に持ち込みました笑



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山門は撮影していいので
でも、この辺りから撮ってくださいと指定され。
近くで撮っちゃダメなのかな???と思いながらも、いわれた通りに。


この山門は室町時代のものらしいです。
この先の建物は全て江戸時代に失火により焼失。
現在の建物は明治時代のものだそうです。
幸いにもご本尊は災禍を免れたようですよ。
何かご加護があったのかしら・・・


山門の中には運慶・快慶作といわれている金剛力士像がありました。
運慶・快慶にしては、優しいお姿に感じました。
ちょっと小ぶりでしたしね。

それに、この門に掛けられている「岩屋山」という扁額は小野道風の書だとか。
ホントなら、ここまで撮影してもいいところだったと思うのですが、お見せできなくて残念。
他のブロガーさんで写真を載せている方もいらっしゃいました。




P5282944.JPG



というわけで、ここから先の写真はありません。

文章だけで説明するには、上手くお伝えできるかどうかわかりませんが、とりあえず。


まずは本堂にお参り。
お賽銭箱の後方に小さな厨子に入った不動明王がありました。
これが弘法大師作のご本尊!!!と思って見て参りましたが
後で調べたら、前立ちの仏像だったようです。
そりゃそうですよね・・・そんな秘仏を外に出しておくわけないですよね。


本堂の横を登っていくと左側に色あせた朱色の橋があります。
その手前には滝があります。
「飛竜の滝(岩屋の滝)」といわれ弘法大師が行をした滝だそうです。


その滝の上の沢を渡って、対岸の岩屋へ向かいます。
「鳴滝岩屋」といわれる岩窟で、中には薬師如来がお祀りされていました。
ここが歌舞伎の「鳴滝」の舞台にもなったところで、弘法大師が護摩の行法をしたといわれているところです。
ものすごい岩窟でした。
ものすごいとしか表現できない自分が情けない
圧倒される大きさです。
そのあたりの雰囲気が、普通じゃなかったですね・・・
しばらく佇んで、言葉が出ませんでした。
行者さんたちはこういうところで籠るのでしょうか?
ちょっと、レベルは違いますが、松島の瑞巌寺を思い出しました。


ここから本堂側にまだ戻るのですが
途中、山登りの時に見かけるような鉄製の梯子が見えました。
倒木などがあり、今は通行禁止となっていますが
あれは岩屋山に登っていく道なのでしょう。

そして杉の古木がたくさんありました。
きっとここの歴史をずっと眺めてきたのでしょうね。


本堂側に戻ると、急な石段が続きます。
今日のベニバナヤマシャクヤクを探す山道より、ずっと急でしんどかったです。
その石段も苔むしていて、自然と一体化している感じでしたね。
この境内自体がほぼ山の中で、開山した時代にタイムスリップしたかのような風景でした。
いや、開山当時はこんな堂宇はなかったかな笑
でも、そんな雰囲気がありました。


そして奥の院の「岩屋清水」へ。
ここは鉄で出来ていましたが、清水寺の舞台のような懸崖造り。
その奥にはまた、大きな岩窟があり結界が張られていました。
後で、お寺の方に伺ったら、そこの岩の間から滴り落ちる水滴が、賀茂川の源流なのだそうです。
私が見た時は、水は滴り落ちていませんでしたが、雨の日の翌日はよく分かるそうです。
隣に奥の院の祠があり、そこに菅原道真手彫りの不動明王が安置されているようです。


賀茂川は、ここだけでなくいろいろなところの流れが合流しているので
源流はいくつもあるのでしょうが、水の神として祀られているだけに
ここはとても神聖な場所に感じられました。
この山のあちこちからも涌き水が出ているようで、それらが集まって先ほど書いた「飛竜の滝(岩屋の滝)」に流れて行きます。


志明院の後背にある岩屋山全体が山岳信仰の行場だったのでしょうね。
ここも真言宗。そして役行者が開山。
成り立ちをみれば上醍醐とかに似ていますが、こちらの方がずっと原始的で山岳信仰の雰囲気が残っています。
あとでご紹介するサイトなどを参考にさせていただくと、
今は荒れて通行禁止になっている先に、いろいろな行場があるようです。
往時は、修行僧で栄えていたようなのですが
今はめっきり減ってしまったとお寺の方がおっしゃっていました。
でも、今でも修行僧がいらっしゃるそうです。


このお寺は、そうした修行僧と信者の方を大事にしたいので
いわゆる観光客を積極的には受け入れないのでしょうね。
今どきのSNS等で拡散されて、観光やインスタ映えを狙ったりなどで一気に人が押し寄せてくるのもよくないし、
そんな気持ちで参拝してほしくないのだと思いました。


境内には「岩峰植生」という京都市指定天然記念物になっている植生があるようです。
看板があったのですが、遠くで読めませんでした。
そのためか、境内の植物はとても大切にされているようでした。
手が入っていないのではなく、入れ過ぎないようにしているのだと思いました。

境内の一角には、なんとベニバナヤマシャクヤクがとても美しく咲いていました。
その日、山で見たどれよりも美しかったです。
場所が場所だけに神々しく見えたのかもしれないです。
思わずスマホで写真を撮りそうになり、慌てて止めました。
ブログに載せたり、他人に見せなければ・・・と、ちょっと悪魔のささやきが聞こえましたが笑
ルールだからというより写真なんかに撮ってはいけないような何かを感じたからです。
残念ですが、心の中に留めておきました。




山門を出たところに、珍しい白のクリンソウがあったので、お寺の方に了解を得て写真を撮らせていただきました。



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源流を引いた手水鉢。



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でも、最後にお寺の方が・・・
どこから来たか、どうやってこのお寺を知ったかということをたずねられました。
京都から・・・というと、ちょっと意外そうでした。
どうやって知ったかということは、話しませんでしたが
口コミで・・・ということなのでしょうが、
どうぞお寺を紹介して広めていってくださいね!とおっしゃっていました。

逆にこれほどのお寺なのに、まだまだ知られていないのがフシギですが
名前が知られているだけがいいわけではないですね。

今回は浅~~く予習しただけでお参りしたので、もう一度ちゃんと見て来たいと思いました。
そして、お寺の方にもいろいろ伺ってみたいと思いました。



最後に、参道の横に群生していたミヤコワスレ。
(ちょっと賑やかですが・・・笑)


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実はこの雲ケ畑という集落は、なかなか歴史のあるところで
惟喬親王(これたかしんのう)が皇位継承から外れて出家して、この地で隠棲していたようなんです。
この方の伝承は滋賀県にもたくさんあります。
その親王が都恋しさに、この近くの山に桟敷を設けて眺めていたという伝承があるようで、
それで桟敷岳と呼ばれるようになったと言います。

惟喬親王はこの志明院にも宮を構えてお住まいだったとのこと。
その頃からこの花が咲いていたとは思いませんが
ミヤコワスレ・・・惟喬親王の想いをこの花が語ってくれているような気がしました。




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最後に・・・
本当に拙い説明で申し訳ないです。
やはりここは実際に行ってみるしかないですね笑
なかなか行くのは不便なところですが、京都の北の集落に知る人ぞ知るこんなお寺があり、
訪れることが出来てとても充実した山歩きになりました。


岩屋山志明院、こちらのサイトが非常に詳しく写真もあるので、よろしければどうぞご覧になってくださいね。

この記事へのコメント

  • りー

    こんにちは♪
    なかなかしっかりしているお寺さんですね。
    確かに信仰修業の場が本来の姿なので納得はできますけど。
    先日訪れた観光地でも、観光客のマナーが悪いので庭の撮影✖や拝観不定期だったり、コスプレ撮影✖などの案内を見かけました。
    お寺さんもあんぐりしちゃうような機会が多かったのでしょうね。
    でも、ベニバナヤカシャクヤクは残念でしたね。
    心の中でひときわ美しく咲いてますよ♡
    2022年05月31日 10:03
  • biore-mama

    りーさん、こんばんは。

    京都にも行場のある神社仏閣はいくつかあって、その場所だけは神聖なところなので静粛に!!みたいなのはあるのですが
    全山というのは珍しいですね。
    ある意味、商売っ気がないというか(苦笑)
    SNSの映えを狙っているところも最近は多いのにね。
    まぁ、きちんとしたお寺なのだと思いました。
    いい意味での恐れのようなものを感じました。
    ちょっとハマってしまい、また行ってみようと思っています。
    2022年06月01日 21:51

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